第4回 11月20日(土)午前11時
参加者:楠木
  
負けるわけにはいかない。それは前回11月6日の岩田さんの試験挽きの結果から始まった。
岩田さんの臼の主溝は深くほられていた。そのことを誰もが心配していた。しかしそれが結果的によかったのか。
楠木さんのeメールにある。
「岩田さんが主溝を斜めの太い溝に大胆に切り込まれて、やや切り込み過ぎではないか、とも内心思ったのですが、
送り込みが強くなったようです」と分析された後に「私が作っている6分割の溝は浅く細いままです。
申し上げたように散髪屋になるとおしまいですから、、、。
慎重にソバを試し挽きしながら、深さ、幅を加えていこうと考えていました。おそらく、あのままでは送り込みが弱い
と思います。そして主溝を太くする必要があると思います。
しかし上臼と下臼の密着度は、製作している3つの中では最高の状態にありますから必ず良くなると確信しています」。
 
そして当日の報告である。
本日上下の臼面の目立てをし、試し挽きの結果です。
抜き実2キロから50番メッシュで歩留まり77%とやや低い数字でした。
残ったさな粉を石臼で再度挽き、同じく50番で篩い、ようやく95%となりました。下臼だけの目立て終了後に、
事前の試し挽きを行い、60番でかなりの成績が出たので、気をよくして上臼をドレッシングしたのですが、
それが裏目に出たのかどうか? 
試し挽きの作業時間は2キロ20分です。これは短時間で大量の投入と思われます。
人力で長時間の手回しはかなりの苦痛を伴い、ついつい多めに原料を入れてしまいます。
もう少し量を少なくすれば、歩留まりが上がると確信します。
何れにせよ、高い精度は無理でしたが、何とか粉になったと言う安堵感で今はハッピーです。
ありがとうございました。取り急ぎ報告まで


  
ディテールにこだわる。
 
円の中心から放射状にのびた線に意味を刻み込む。

当社にある臼:溝の形状をみるため、
臼をたてて真上から写真をとる。
上臼:下記イラストの機械臼の説明のように7:3の割で溝が刻まれている。

下臼:同様に7:3になっている。

 

「石臼の謎」三輪茂雄著
産業技術センターP262より

臼」三輪茂雄著
 法政大学出版局
 P146より

目立て修正作業 ディテールにこだわるの図。
楠木さんはそれを目の形状にあると考えた。溝に傾斜をつけリズムがきざまれる。

下臼:鋭角なエッジが削られる。
上下の臼は同じ角度でなければいけない。

楠木さんのこと
 今回のワークショップでは楠木さんにナビゲーター役をお願いし、作業のペースメーカーとしてスケジューリング全般をお願いしました。以前楠木さんからお手紙を頂戴したことがあります。
98年6月。それには石臼の電動化計画と表題がうたれ詳細が記されていました。

写真を先に御覧いただければ、すぐにおわかりになると思いますが、石臼の目が大きく粗いもので、ソバには適さないことが看てとれます。私の故郷和歌山には蕎麦の歴史はないので、石にそれを求めることは初めから無理なことでしょう。しかし、何ごとも実践してみて初めて理解できるもの、とにかく挽いてみようと、スタートし、少しでも楽に挽きたいと考えたのが、この電動化です。
石臼とモーターの設計は貴社の機械を参考にさせていただきました。まず、架台は鉄材屋で寸法切りしてもらいました。それを鉄工所に持ち込み、自分で溶接、塗装を行いました。
次はそば粉を受ける円形の皿です。自作するか、いろいろ悩んだ末、道具屋筋で40センチ平鍋を購入することにしました一番安く、簡単に加工できるからです。
次がシャフトの製作。シャフトはモーターの動力を石臼に伝えます。再び鋼材屋で材料を買い求め、近所の加工屋に依頼しました。丸いシャフトの端のジョイント部分に8ミリ幅のキーを入れる高度な加工です。この加工には専門の掘削機が必要です。ただ不景気ということなのでしょうか、加工屋さんは快くひきうけてくれました。
同様に石臼側のジョイント部に穴あけ加工を行います。石臼を墓石屋さんにもちこみました。
およそ80年前に作られたこの石臼をみて、石材の職人さんは岡山産の石だろうと診断しました。
 下臼はシャフトがさし込めるパイの加工、上臼は50ミリの角穴あけ。すべて石材用電動ドリルで瞬くあいだに穴が開きました。
つまり、石は意外に柔らかい材料だったことも分かったのです。
ほぼ材料が揃い、組立てに入ります。クーラー電源を単相200ボルトの動力に変更して、インバーターに結線。電源をオンにするとモーターはゆっくり回転を始めるが、それは逆回転。取扱説明書をみると、この商品は海外向けですべて英語による説明。辞書を片手に挑戦。
インプット出来る機能をもっているようですが、すべてカット。回転はアジャスターのつまみで、その都度回転をかえるようにしました。そして二ヶ月にわたって続いた電動化計画はようやく完成したのです。
と続いたあとに電動化完成後、何度か製粉を行い、そばを打ちましたが、やはりうまいそばにはなりません。
いくら回転数を変えても肝心の実の外皮部分が製粉できていないのにはかわりありません。
一度平らにしてグラインドし、新たに目を刻もうかと考えています。いずれにしてもようやく石臼への旅は始まったばかりです。
その後、手紙にあるように石臼の面を削りとって、新たに溝をつくられています。

すべてはここから出発している。
もしこの石臼が家になかったら、目立てなど考えもしなかっただろう。

石材屋のおやじが岡山産だろうと指摘。

無理難題を誰が聞いてくれるのだろう。
しかし営業マンは親切に相談にのってくれた。
日立製輸出用モデル
ここまで来たらもう後戻りはできない。


なんでも自分でやってみる。
DIY の部分におもしろさがある。

モーターの動力を石臼に伝えるシャフト部分

鍋としてみてはいけない。
規範からの逸脱は既知の意味編成から本来の意味を消失させる、、、。
とは言っても、結果的に金物屋のオヤジの気持ちを逆撫でしている
ことはたしかである。

楠木さんの手紙に曰く。「私の娘が蕎麦の実をいれていますが、
じっと見つめていると目がまわるといってすぐにやめてしまい、
以後作業は家内も手伝いません」。
石臼が邪魔物扱いされてはいけない。
急遽ホッパーが製作されたそうです。

 

12年9月、上の電動石臼が石臼マシーンに進化しました。同じものとは思えません。



 ホッパーからの原料供給に工夫があります。

 インバーターにより上臼の回転が変更できます。