そ ば 川 柳  一 句 申 さ ん や
 
投 句 &  T A L K




聞きましょう、ささ、存分に

湯上がりの一句タオルで拭きとられ 

豪快にソバ すすり込み梅雨明ける

あの蕎麦が忘れられぬと途中下車 

そばっ食い盛りのテッペンほらするり
義理多く愚痴も詰め込むのし袋
 手打ちそばバチのリズムで出来上がり

熱燗と海苔一枚で蕎麦の美味

青色のビラに新そば紺のれん

チビ客のごちそうさまに癒される

いつの間にまた一人欠け趣味の会

 背伸びした特別料理持て余し

 -日本そば新聞



 そば一本年越しだよと孫の口  マンネリに客が減ってくああ老舗
 わだかまりさっとながして空が澄む  常連を隅に追いやる縄のれん
 ランチタイムそば屋の時計目を回す  すぐ出ますそば屋の出前ウソホント
 うどん吹くポトリ肩から雪雫  そば通の蘊蓄聞いてのびる蕎麦
 くどい性だからもりそばしか食べぬ  そば打ちの母を横目にカップ麺
 そばの花咲いて絵になる休耕田  呑み過ぎを承知の上でまた呻り
 新そば流石違うと妻は言い  長すぎる電話にそばが欠伸する
 新そばはやはり旨いと古女房  暑い日の水一杯でひきしまる
 そばうどん毎日食べるそば屋好き  老練なそば職人でそつがない
 湯上がりの一句タオルで拭きとられ  痩せるには蕎麦という医師やや肥満
  

日本そば新聞

 辛くしようか甘くしようか言葉尻  予約席一つ空いてる混んでいる
 下町に生まれ何より祭好き  一斉にライバルになるヨーイドン
 さくらそば蒸籠に山の花かづら  古希過ぎたあたり女はつよくなる
 ぞんざいな言葉のウラに ある温み  そば好きが江戸っ子ですと鼻にかけ
 そばと餅ともに草の香春の色  儲かっているから値引きするのです
 まかせとけ話はそばを食べてから  無人駅そば屋がみんな仕切ります
 マンションに化けた哀しいそば畑  そば打ちの名手もサンマ焦がします
 扇風機一人占めしてそば啜る  茶を飲んで愚痴のひとつも引っ込める
 通ぶってこれ飲まねばと蕎麦湯のみ  生たまごひとつ落として母の蕎麦
 大声で笑い合ってるソバすする  ライバルにスランプですと油断させ
  

日本そば新聞

 そば道場あの手この手に明日があり  そばの味知らぬは打ち手ばかりなり
 打ちたくて食べる人待つそば名人  ひそやかに育てし愛はそばの花
 能書きを口上のように述べたてる  このそばの味のうまさは人の世か
 上司にも我が打つそば喰わしたし  人の世につながりつくる手打ち蕎麦
 手打ちそば汗の数だけうまくなる  定年後ぼけ防止とそばを打つ
 講釈につい節がつき名調子  人去りて初めて知るやそばの味
 そば打ちの心で育てるなごやかさ  手打ちそば打てば打つほど奥深し
 仕事には役に立たぬに一人打つ  蕎麦打ちは打てば打つほど下手になり
 そば打ちの母を横目にカップ麺  そば好きが粉に飛び込むうれしさか

 

 信濃屋-投句

プツプツと切れると言われる自信作ゆで方が悪いと説教し

ネクタイを緩めて疲れとる暖簾

誉められて饒舌になる蕎麦湯割り

大塚長寿庵 松井まさ子川柳句集
「あなたのそばに」新葉館出版社
 定価1000円(税込み)

ご希望の方は
03-3983-2633 松井様宛



shibasi todome okannto